【就業規則】作成費用について解説!基本知識~節約方法まで
はじめに
初めて就業規則を作成するときに、一番気になるのが費用ではないでしょうか?
「インターネットで調べてみても、費用にバラつきがあって、何が違うのかよく分からない」と感じた方は多いでしょう。本記事では、費用相場、費用を抑える方法、発注先の選定ポイント、を詳しく解説します。
この記事の執筆者
古賀 泰成(こが たいせい)
こが社労士パートナーズ
代表社会保険労務士
法政大学 経営学部卒業。
自動車メーカーにて海外拠点での営業・物流管理に7年従事。
その間に社労士資格を取得し、父の社労士事務所に勤めた後に開業。
労務×採用で、小規模事業~中小企業まで支援実績あり。
就業規則とは
まず就業規則とはどういったものでしょうか?押さえるべきポイントに絞って解説します。(不要な方は次のセクションへ)
法律上での位置付け
就業規則は、労働基準法と労働契約法の2つの法律で定められています。中でも経営者が知っておきたいのは、以下の2つです。
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就業規則を作成する理由とメリット
就業規則を作成するメリットは主に3つあります。
メリット① 従業員へ規律を促すことができる
従業員に対して、方針やルールを明確に示すことができます。周知していれば、規則は有効になるので、従業員に義務的に何かをさせることもできます。例えば、「清潔感のある服装で仕事に臨む」「パソコンは必ずロックする」といった規定を入れ、それができてなければ指導することも可能です。
メリット② 明記することで有効となる制度がある
以下のルールは、就業規則に明記し周知することで、初めて効力が生まれます。逆に言うと、就業規則がないにもかかわらず、これらの規則を運用しても、いざというときに無効と判断される可能性が高いです。
・1ヵ月単位の変形労働 ・変形休日制 ・フレックスタイム ・振替休日・配置転換 ・懲戒 ・休職
メリット③ 助成金の受給に必要な書類となる
助成金は、ある一定の要件を満たすことで受給できる国の制度です。この要件の多くは、「社内の制度を改善させ、従業員にとって良い環境になったか」をチェックされます。このチェックに用いられる書類の一つとして、就業規則があります。
就業規則を作成する際の注意点
就業規則は以下の注意点があります。
注意点① 最低基準になる
上記でもご説明しましたが、就業規則はその対象者の雇用契約の最低ラインになります。
これから作る就業規則が、誰に対して影響するのか意識しておきましょう。
たとえば、就業規則よりも雇用契約書の方が、休日が少ないなどないように気を付けましょう。
作成に手間がかかったとしても、「就業規則は適当に作って、個別で定めればいいや」というのはおすすめしません。
注意点② 変更はハードルが高い
就業規則は一度規定してしまうと、それを変更するのは手間がかかります。特に従業員の不利な方へ変更することを不利益変更と言い、十分に変更の趣旨を説明して、理解してもらい、従業員ごとに合意を得なければいけません。
手当や休暇など、むやみに条件を上げすぎるのも注意が必要です。
注意点③ テンプレートには落とし穴がある
就業規則のテンプレート(ひな形)を活用するのにも、注意が必要です。規定に過不足がないか、業界や自社に合った規定となっているか、などをチェックし、カスタマイズすることが必要になってきます。
例えば、厚生労働省のテンプレートには、中小企業が利用するには、ハードルの高い規定が見受けられます。
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就業規則の作成費用について
費用相場は10〜20万円
就業規則の作成費用は、一般的に10万〜20万円程度とされており、バラつきがあります。
なぜこんなにもバラつきがあるかというと、事務所によってサービス内容が違うためです。サービス内容は千差万別であるにもかかわらず、すべて「就業規則」という商品名であるのが、混乱される理由かなと思います。以下のチャートを見ると、「オーダーメイド型」と「汎用型」という軸があります。これはご自身の事業規模と業界特性によります。もう一つの軸として、作成過程での「コミュニケーション多」「コミュニケーション少」があります。これは「現在の労務管理に対する向き合い方」によります。
オーダーメイド型と汎用型
上記の軸で、「オーダーメイド型」と「汎用型」を挙げました。ここでは、具体的に何がオーダーメイドなのかを説明します。業規則は以下の3つの要素に基づいて、作成されます。これらの要素が絡み合うほど、就業規則の作成費用は高くなります。
従業員数が多い企業ほど、就業規則に盛り込む内容が複雑になり、かつ労働トラブルとなるリスク可能性も上がるため、綿密に規定する必要があり、コストも増加します。
例えば、製造業や医療業界では、特別な労働条件が求められる場合が多く、独自制度を構築するケースがあります。また例えば「高額商品を扱う」金融業や製造業だったり、「SNS炎上が企業の存続に関わる」飲食業界など、リスク傾向が異なります。それらを加味することで、その分作成コストが増えます。
経営者はそれぞれ思いやビジョンをもっています。
「これから会社をどんな組織にしていきたいか」、「従業員がどうあってほしいか」といったメッセージも、就業規則に落とし込むことができます。例えば、表彰・懲戒や、特別休暇、福利厚生などです。
これらは、ヒアリングから始め、言語化、提案が必要な領域なので、作成コストがあがってきます。
ただ、せっかくお金をかけて作成しても、従業員へ伝わらないと意味がありません。伝えるには、別途ルールブックとして配布することが有効です。ルールブックとは、ポイントを絞り、イラストで解説したパンフレットのようなものです。こが社労士パートナーズでは、このルールブックにも力を入れています。お見積りは無料なので、お気軽にお問い合わせください。
作成過程のコミュニケーション
一般的に、価格帯の高いサービスほどコミュニケーションを重視し、コンサルティングサービスも付随してきます。もしご自身が「漠然とこういったことしたいんだけど」や「色々相談しながら進めたい」といったことであれば、低価格のサービスだと難しいかも知れません。徹底的に一緒になって考えてほしい、自身の考えをしっかり反映させたい、運用に不安を感じる、といった方はコミュニケーションを重視しましょう。
ただ、現在の事情(忙しくてコミュニケーションの時間が取れない等)もあるでしょう。そういった場合は、無理しないことも重要です。
就業規則の作成費用が相場より安い場合の注意点
費用が相場よりも著しく安い場合は、いくつかの注意点があります。まず、無料や安価なサービスでは、テンプレートをそのまま使用するだけで、企業の実情に合わせたカスタマイズが行われないことがあります。これにより、実際の運用時に問題が生じる可能性があります。
例えば、ある会社が費用を抑えるために、一般的なテンプレートをそのままコピーして就業規則を作成したとします。しかし、その規則が合致していないと、労務トラブルが発生するようなことになりかねません。費用を抑えることは重要ですが、信頼できる専門家に依頼することが、長期的に見て最もコストパフォーマンスが高い選択と言えるでしょう。
社労士に依頼するメリットと費用
社労士に依頼する場合の費用相場
就業規則の作成を社労士に依頼する場合、その費用は新規作成、一部変更、アドバイスなどの内容によって異なります。新規作成の場合、相場は10万円〜20万円程度が一般的です。一部変更や修正のみの場合は、数万円〜10万円程度で済むことが多いです。また、顧問契約を結んでいる場合は、定期的なメンテナンスが割引価格で提供されることもあります。
社労士に就業規則作成を依頼する3つのメリット
社労士は、法令だけでなく、裁判例や経験などの知見を活かして、労使間のトラブルを未然に防ぐことができます。また規則の作成中は、社労士とコミュニケーションを重ねることで、運用時の注意点を押さえることができます。
労働法は頻繁に改正されます。特に近年は、働き方改革関連の改正が続きました。社労士に依頼することで、最新法令を押さえた規則を作成でき、法令違反リスクは下げられるでしょう。
就業規則の作成は、精通していないと時間だけがかかって、なかなか進まないことが多いです。とくに経営者が本業に集中しながら、公的な文書を作成するには、負荷が大きいでしょう。その負担を社労士に丸投げすることができます。
就業規則作成費用の節約方法
費用を抑える4つのポイント
顧問契約を結ぶことで、割引が適用されることがあります。また、定期的な見直しを行うことで、大規模な修正が必要になる前に対応でき、費用を抑えることができます。
オンラインで全て対応できるできる社労士もいます。その場合、社労士側は対面による交通費や工数を削減でき、それを顧客還元で価格を下げている場合があります。また価格面だけでなく、チャットで気軽に相談や修正を依頼するなど、コミュニケーションが多いサービスもございます。オンラインだけでは不安な方は、「1回目のヒアリングは対面」、「1回対面あたりの従量課金制」などもおすすめです。
すでにある程度の就業規則が存在する場合、それをベースに必要な部分だけを修正・追加することで、コストを抑えることができます。例えば、法改正に伴う修正や、新しい福利厚生制度の導入だけで済む場合、全体の作成費用を抑えることが可能です。また「育児・介護関連のみ追加したい」、「休職関連だけもっと厚くしたい」などができれば費用は抑えられるでしょう。
こが社労士パートナーズも、上記に対応しております。
お客様のご事情優先で、柔軟にサービスを提案しております。オンラインや追記だけだからといって手は抜かず、高品質なサービスと丁寧なお客様対応を心がけています。お気軽にお問い合わせください。
選定時に注意すべきポイント
社労士の選び方とポイント
まずは、初回の打ち合わせで、自社の事情や悩み、課題などを丁寧に聞いてくれるか確認しましょう。法律の原則論だけでなく、経営者の目線を兼ね備えた担当者であるかもポイントです。せっかく費用をかけるのであれば、最初から一貫して、専任の担当者がついてくれると、より適切なアドバイスが期待できます。また作成過程であっても、気軽に修正や相談ができる雰囲気かも確認しましょう。ここでコミュニケーションの量がある程度推測できるでしょう。
提供されるサービスが充実しているかどうかも重要です。例えば、基本的な就業規則の作成サービスだけでなく、それに伴うルールブックの作成や、定期的な見直しなどを提供してくれるかどうかを確認しましょう。これらは就業規則とは別料金であることが大半ですが、あるのとないのとでは違います。やはり豊富なサービスがあると、一つの事務所でワンストップでサポートを受けられる安心感があります。
事務所によっては、やり取りは初回のみで、気が付いたら完成した規定が送られてきたというケースもあります。一方で、経営者と何度もやり取りし、経営者の疑問点を解消し、思いがけない提案をしながら、形にしていく社労士もいます。そういった社労士は、就業規則を単なるツールではなく、「経営者の知見を広げ、ありたい姿を想像させることで、より良い会社を作りたい」と思っているはずです。
具体的なサービス例
社労士事務所Aの場合
スタッフが多数在籍しており、数百名規模~大企業を得意としている。費用は比較的高額だが、賃金制度や人事評価などの構築もしてくれる。
社労士事務所Bの場合
テンプレートを利用した就業規則作成支援サービス。費用は比較的安価で、基本的な規則を作成してくれる。専門家のアドバイスを受けたい場合は追加費用が必要。
当事務所 こが社労士パートナーズの場合
作成中は、気軽に何度でもオンラインにてやり取りが可能。コミュニケーションの過程で、運用や将来のビジョンまで見据えた上で、労務管理の面白さと気づきを提案し、思いやビジョンを形にしながら、満足のいく体験を大事している。費用は安価~中価格帯。豊富なオプションサービスあり(一部規定のみの作成、従業員向けルールブックの作成等)。
結論
就業規則の作成は、ある程度の費用がかかってきます。しかしながら、良い専門家と一緒に作ることができたら、規則そのものだけでなく、作成過程で得た気付きや体験は、会社にとってかけがえのない資産になるでしょう。本記事で紹介したポイントを参考に、自社に合った専門家が見つかると幸いです。