【就業規則】作成費用について徹底解説!相場・注意点・節約方法まで

目次

はじめに

就業規則は、会社を運営する上で、社員との信頼関係を築き、トラブルを未然に防ぐための重要な文書です。しかし、インターネットで調べてみても、就業規則の作成費用にはバラつきがあり、どこに依頼をすればいいのか、分かりづらいと感じられてるのではないでしょうか。本記事では、就業規則の作成にかかる費用の相場や、費用を抑えるための方法、どんな事務所に依頼をすればいいのか、について詳しく解説します。この記事を読んでいただくことで、就業規則作成の必要性とその費用に対する理解が深まり、最終的には、適切な形で就業規則を整備するための道筋が見えてくるはずです。

この記事の執筆者

古賀 泰成(こが たいせい)
こが社労士パートナーズ 代表


法政大学経営学部卒業。自動車メーカーにて10年近く勤務した後、社労士試験合格。
社労士事務所勤務後、こが社労士パートナーズを設立。
オンラインを活用しながら、クイックレスポンスかつ丁寧な対応を心がける。
組織作りに強く、また採用やITを駆使して、小規模事業~中小企業まで実績あり。
「就業規則を組織作りのきっかけとしたい」と考え、情報発信と顧客提案を大事にする。

就業規則とは

就業規則とは何か?

就業規則は、会社と社員との間でルールを共有するための文書です。これには、勤務時間や賃金、休暇、そして懲戒処分など、働く上で守るべき基本的なルールが明記されています。これがしっかりと整備されていないと、労働者との間でトラブルが発生する可能性が高くなります。たとえば、ある社員が突然長期の休暇を取りたいと言ったときに、休暇の取得ルールが定められていなければ、会社側としてどう対応すべきかが曖昧になってしまいます。就業規則は、こうしたトラブルを未然に防ぐための基本ツールと言えます。

法律上での就業規則

  • 従業員が常時10人以上の事業所は、作成義務

    労働基準法で定められています。この違反には30万円の罰金が科される罰則もあります。
    また労働基準監督署の調査でも、確認されるおなじみの文書になります。
  • 就業規則は、個々の雇用契約の最低ライン

    労働契約法で定められています。会社と各従業員における、それぞれの雇用契約は、就業規則と比べて、従業員が不利な内容にはできません。
こが社労士パートナーズ代表 古賀

作成義務がある、「常時10人以上の事業所」を詳しく説明します。
「常時」というのがポイントで、たまたま引継ぎ期間に人が増え、10人になっても、それは「常時」とは言わず作成義務はありません。
それから、「事業所」というのは、例えば「店舗」「営業所」などの場所をさします。よって、一つの店舗や営業所で10人以上いるのかどうかがポイントになります。

就業規則を作成する理由とメリット

ここまで、法律上の話をしたので、義務のように感じられて、会社には良くないもののように感じられる方もいるでしょう。しかし、次のように、就業規則にもメリットというのがあります。

  • 従業員へ規律を促すことができる
    従業員に対して、方針やルールを明確に示すことができます。これにより、従業員との間で誤解やトラブルが発生しにくくなり、また労使トラブルが発生した場合でも、就業規則がその解決のための重要な指針となります。
    例えば、ある企業で残業に対する不満が上がった場合、就業規則に「残業は労働基準法に則り、事前の承認を得た上で実施する」と明記されていれば、労働者もそのルールに従わざるを得ません。このように、就業規則は労使双方にとって安心して働ける環境を構築するための基本的なツールなのです。
  • 就業規則によって有効となるルールがある
    会社によっては導入必須となる以下のようなルールは、就業規則によって初めて効力が生まれます。逆に言うと、就業規則がないにもかかわらず、これらの規則を運用しても、無効となる可能性が高いです。

    ・1ヵ月単位の変形労働 ・変形休日制 ・フレックスタイム ・振替休日
    ・配置転換 ・懲戒 ・休職
  • 助成金受給に必要書類となる
    助成金の多くは、社内規定の根拠として、就業規則の提出を求めています。
こが社労士パートナーズ代表 古賀

10人未満の会社は、就業規則ではなく、”就業規則に準じるもの”で、上記3つの効力を発揮することがあります。これは非常に便利なので、別記事で解説したいと思います。

就業規則を作成する際の注意点

  • 最低基準になる
    上記でも書きましたが、就業規則は個々の契約の最低ラインになります。
    ですので「就業規則は適当に作って、個別で定めていけばいい」といったことはお勧めしません。
  • 1度規定すると、不利益変更はハードルが高い
    就業規則は、従業員とのルール=約束です。よって簡単に約束を覆すことはできません。
    変更するには、従業員へ十分に説明し、個別に変更を合意してもらう必要があります。
    それでも、後々「これは無理に合意させられた」と訴えをされるケースもあります。
  • テンプレートには落とし穴がある
    よくテンプレートをそのまま使う方がいます。しかし、テンプレートを安易に使うと、後々会社を苦しめることにもなりかねません。例えば、厚生労働省のテンプレート(ひな形)は、法律以上の内容が記載されています。
こが社労士パートナーズ代表 古賀

以上のことから、就業規則は10人以上になって、慌てて作ることはお勧めしません。10人未満であっても、事業が拡大する見込みがあれば、作成準備に入りましょう。そうすることで、少しずつ様子を見ながら制度拡充するようなことができます。

就業規則の作成費用について

就業規則の作成費用の相場は10〜20万円って本当?

就業規則の作成費用の相場は、一般的に10万〜20万円程度とされており、バラつきがあります。
この費用には、基本的な規則の作成だけでなく、会社や事業規模に合わせたカスタマイズが含まれています。
例えば、社員が10人未満の小規模な企業と、社員が100人以上いる大規模な企業では、就業規則に求められる内容が異なります。
業界によっては変形労働制やシフト制など、特別な制度を盛り込む必要があり、そのためのコンサル費用もかかってきます。
また、労働関連の法改正に対応するためには、定期的な見直しが必要です。これには、最新の法令を反映させるための調査と、規則の修正が含まれ、これが費用に反映されます。
そのため、費用も企業の規模や業種、個別の要件によって変動することがあるのです。

費用はどのように算出されているか?

就業規則の作成費用は、以下の3つの要素に基づいて、算出されることが多いでしょう。
これらの要素が組み合わさることで、就業規則の作成費用が決まります。また、労働者との協議や合意形成が必要な場合、そのプロセスも費用に加わることがあります。

企業の規模

従業員数が多い企業ほど、就業規則に盛り込む内容が複雑になり、かつ労働トラブルとなるリスク可能性も上がるため、綿密に規定する必要があり、コストも増加します。

業種特有の要件

例えば、製造業や医療業界では、特別な労働条件が求められる場合が多く、独自制度を構築するケースがあります。また例えば「高額商品を扱う」だったり、「SNS炎上が企業の存続に関わる」など、リスク傾向が異なります。それらを加味することで、その分作成コストが増えます。

個別事情

経営者はそれぞれ思いやビジョンをもっています。
「これから会社をどんな組織にしていきたいか」、「従業員がどうあってほしいか」といったメッセージも、就業規則に落とし込むことができます。例えば、表彰・懲戒や、特別休暇、福利厚生などです。
これによって、会社の資産と呼べるような血の通った就業規則ができあがります。

こが社労士パートナーズ代表 古賀

こが社労士パートナーズは、①②をしっかり押さえつつ、③を大事にしています。せっかく費用を掛けるのであれば、経営者の思いのこもった、就業規則を構築することが大事です。
また、その思いは単に規則にするだけでは伝わらない可能性があります。従業員へ伝えるならば、ビジュアルでポイントを絞ったルールブックを配布するのも手です。
これら含め、トータルで何がベストか一緒に考えましょう。お見積りは無料ですので、ぜひお問い合わせください。

就業規則の作成費用が相場より安い場合の注意点

費用が相場よりも著しく安い場合は、いくつかの注意点があります。まず、無料や安価なサービスでは、テンプレートをそのまま使用するだけで、企業の実情に合わせたカスタマイズが行われないことがあります。これにより、実際の運用時に問題が生じる可能性があります。

例えば、ある会社が費用を抑えるために、一般的なテンプレートをそのままコピーして就業規則を作成したとします。しかし、その規則が実際の業務に合致していなかったため、労働者との間でトラブルが発生し、結果として多額の訴訟費用がかかってしまったという事例もあります。
費用を抑えることは重要ですが、信頼できる専門家に依頼することが、長期的に見て最もコストパフォーマンスが高い選択と言えるでしょう。

社労士に依頼するメリットと費用

社労士に依頼する場合の費用相場

就業規則の作成を社労士に依頼する場合、その費用は新規作成、一部変更、アドバイスなどの内容によって異なります。新規作成の場合、相場は10万円〜20万円程度が一般的です。一部変更や修正のみの場合は、5万円〜10万円程度で済むことが多いですが、これは変更の規模や内容に大きく依存します。また、顧問契約を結んでいる場合は、定期的なメンテナンスや修正が割引価格で提供されることもあります。

社労士に就業規則作成を依頼する3つのメリット

労使間トラブルの防止

社労士は労働法規に精通しており、最新の法令に基づいた就業規則を作成します。これにより、労使間のトラブルを未然に防ぐことができます。法令や判例を踏まえて、きちんとした、懲戒や休職に関する規則を適切に定めることで、社員との間での誤解や紛争を防ぐことが可能です。

最新法令対応

労働関連法規は頻繁に改正されます。社労士に依頼すれば、最新の法令改正に対応した就業規則を作成することができ、法令違反によるリスクを低減できます。特に、働き方改革関連の法改正が多い近年では、社労士のサポートが重要です。

人事担当者の業務負担軽減

就業規則の作成や見直しは時間と労力を要する作業です。社労士に依頼することで、人事担当者の業務負担を軽減し、本来の業務に集中することができます。例えば、新たな規則の導入や社内説明会の開催など、通常の業務に加えて多くの時間を割く必要がある場合、社労士のサポートは大いに役立つでしょう。

就業規則作成費用の節約方法

費用を抑える3つのポイント

社労士と顧問契約を結ぶ

長期的な顧問契約を結ぶことで、就業規則の作成や修正が必要な際に割引が適用されることがあります。また、定期的な見直しを行うことで、大規模な修正が必要になる前に対応でき、費用を抑えることができます。

オンライン対応の社労士を活用する

社労士によっては、オンラインを活用し、web会議システム、電話、メール等で全て対応できるできる社労士もいます。その場合、社労士側は対面による交通費や工数を削減でき、それを顧客還元で価格を下げている場合があります。また価格面だけでなく、チャットで気軽に相談や修正を依頼するなど、対面よりもサービス性が高いオンラインサービスもございます。オンラインだけでは不安な方は、「1回目のヒアリングは対面」、「1回対面あたりの従量課金制」などもおすすめです。

既存の就業規則を活用する

すでにある程度の就業規則が存在する場合、それをベースに必要な部分だけを修正・追加することで、コストを抑えることができます。例えば、法改正に伴う修正や、新しい福利厚生制度の導入に合わせた変更だけで済む場合、全体の作成費用を大幅に抑えることが可能です。また「育児・介護関連のみ追加したい」、「休職関連だけもっと厚くしたい」などができれば費用は抑えられるでしょう。

簡易版の就業規則を作成する(10人未満の会社のみ)

就業規則の法的義務があるのは、10人以上の会社です。
しかし、上記で説明したメリットは、10人未満の会社にとっても非常に大きなものです。
作成する場合は、10人以上の会社ほど、記載内容を縛られないため、必要な部分だけ作成する(法律用語で”就業規則に準ずるもの”と言います)ことも一つの手です。しかし、助成金申請での提出書類として使用する場合は、10人以上の就業規則と同等のものを要求される可能性もありますので、ご注意ください。

こが社労士パートナーズ代表 古賀

こが社労士パートナーズも、上記に対応しております。
できるだけお客様に合わせた柔軟なサービスを提案しております。オンラインや簡易版だからといって手は抜かず、高品質なサービスとお客様対応を心がけています。ですのでお気軽にお問い合わせください。

おすすめの就業規則作成サービス・社労士事務所

社労士の選び方とポイント

自社の事情をよく聞いてくれるか

まずは、初回の打ち合わせで、自社の事情や悩み、課題などを丁寧に聞いてくれるか確認しましょう。法律の原則論だけでなく、経営者の目線を兼ね備えた担当者であるかもポイントです。せっかく費用をかけるのであれば、最初から一貫して、専任の担当者がついてくれると、より適切なアドバイスが期待できます。また作成過程であっても、気軽に修正や相談ができる雰囲気かも確認しましょう。

価格とサービス内容のバランス

提供されるサービスが充実しているかどうかも重要です。例えば、基本的な就業規則の作成サービスだけでなく、それに伴うルールブックの作成や、定期的な見直しなどを提供してくれるかどうかを確認しましょう。これらは就業規則とは別料金であることが大半ですが、あるのとないのとでは違います。やはり豊富なサービスがあると、一つの事務所でワンストップでサポートを受けられる安心感があります。

サービス内で、どの程度の提案をしてくれるか

事務所によっては、やり取りは初回のみで、気が付いたら完成した規定が送られてきたというケースもあります。一方で、経営者と何度もやり取りし、経営者の疑問点を解消し、思いがけない提案をしながら、形にしていく社労士もいます。そういった社労士は、就業規則を単なるツールではなく、「経営者の知見を広げ、ありたい姿を想像させることで、より良い会社を作りたい」と思っているはずです。

具体的なサービス例

社労士事務所Aの場合

スタッフが多数在籍しており、中小企業から大企業まで幅広い対応が可能。費用は規模により異なるが、最初に見積もりと丁寧なカウンセリングがある。賃金制度や人事評価などの構築もしてくれる。

社労士事務所Bの場合

テンプレートを利用した就業規則作成支援サービス。費用は比較的安価で、基本的な規則を作成してくれる。専門家のアドバイスを受けたい場合は追加費用が必要。

当事務所 こが社労士パートナーズの場合

作成中は、気軽に何度でもオンラインにてやり取りが可能。提案によって「組織」や「労務管理」の面白さ・気づきを提供するとともに、思いやビジョンを形にしていくことを大事している。費用は安価~中価格帯。豊富なオプションサービスあり(一部規定のみの作成、簡易版の作成、従業員向けルールブックの作成)。

結論

就業規則の作成は、会社運営において大事なプロセスです。費用はかかりますが、その投資によって労使間のトラブルを未然に防ぎ、安心して働ける環境を整えることができます。また、自社のありたい姿を実現するきっかけになるでしょう。本記事で紹介したポイントを参考に、自社に最適な方法で就業規則を作成しましょう。また、信頼できる社労士を活用することで、効率的かつ効果的に規則を整備することが可能です。次のステップとしては、まずは自社のニーズに合ったサービスを選び、専門家に相談することをお勧めします。

これから就業規則を作成する際には、コストと効果をしっかりと天秤にかけながら、最適な選択をしていただければと思います。

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