就業規則の記載事項を完全ガイド|絶対的記載事項とは?
この記事の執筆者
古賀 泰成(こが たいせい)
こが社労士パートナーズ
代表社会保険労務士
法政大学 経営学部卒業。
自動車メーカーにて海外拠点での営業・物流管理に7年従事。
その間に社労士資格を取得し、父の社労士事務所に勤めた後に開業。
労務×採用で、小規模事業~中小企業まで支援実績あり。
就業規則とは?
就業規則は、労働条件や社内規律を定め、会社を型取るフレームワークです。
特に、従業員が10人以上いる事業場では、法律で就業規則の作成が義務付けられており、労働基準監督署に届け出なければいけません。
では、就業規則には具体的にどのようなことを記載しなければならないのでしょうか?
その前に、記載事項には大きく3つの種類があることを理解しておきましょう。
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就業規則の記載事項は3つの種類がある
記載するべき事項は、法律に基づいて「絶対的必要記載事項」「相対的必要記載事項」「任意的記載事項」の3つに分類されます。
これを押さえないと、不備が発生し、30万円の罰金に科せられる可能性があります。
一方で、記載に漏れがあったとしても、就業規則自体を周知してれば、漏れた項目以外は有効となります。
それ自体が無効になる『定款』とは異なる点です。
”30万円の罰金”は、就業規則を作成していないのと同等の罰則ですので、非常にもったいないですよね。
絶対的必要記載事項
すべての会社が必ず記載しなければならない項目です。制度がなければ作る必要があります。
以下の通り、大きく3項目ありますので、後で詳しく解説します。
絶対的必要記載事項
- 就業時間・休憩・休日など(始業及び終業の時刻、休憩時間、休日、休暇、交代制ルール)
- 賃金など(計算、支払いの方法、締め切り期間、支払時期、昇給ルール)
- 退職(退職全般)
昔から労働トラブルになりやすいのは、「時間(残業)」、
「お金(賃金)」「立場(退職)」の3つです。だからこそ、これらは必須項目になっていると言えますね。
相対的必要記載事項
制度がある会社のみ、記載が必要な項目です。よって、制度がなければ記載しなくても問題ありません。
以下の通り、大きく8つあります。
相対的必要記載事項
- 退職金(適用者、支払い時期、不支給や減額ルール、計算および支払いの方法)
- その他賃金関係(ボーナス、最低賃金)
- 従業員負担のもの(仕事道具など)
- 安全及び衛生
- 職業訓練
- 災害補償および業務外の傷病扶助
- 表彰および制裁
- その他、事業場内の従業員すべてに適用される事項(休職、福利厚生)
細かく8つもありますがご安心ください。
「前の『絶対的記載事項』と次の『任意的記載事項』以外」だと、ざっくり考えておけば大丈夫です。
任意的記載事項
企業が独自に定めることができる項目です。記載義務はないものの、従業員とのコミュニケーションを円滑にし、企業の理念を反映させる手段として有効です。
任意的記載事項 (一例)
- 企業理念
- 遵守義務
任意ですが、会社の指針やMVVを伝える大事な項目です。
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絶対的必要記載事項の各項目を解説
絶対的必要記載事項
- 就業時間・休憩・休日など(始業及び終業の時刻、休憩時間、休日、休暇、交代制ルール)
- 賃金など(計算、支払いの方法、締め切り期間、支払時期、昇給ルール)
- 退職(退職全般)
絶対的必要記載事項は、上記3つです。それぞれ細かく見ていきましょう。
①就業時間・休憩・休日など
始業及び終業の時刻、休憩時間
就業規則には、始業時刻、終業時刻、休憩時間を明確に記載しなければなりません。
これが曖昧だと、従業員がどの時間帯に働くべきか、また適切な休憩が取れないといった問題が発生します。
例えば、以下の様に明記することで、労使間の混乱を防ぐことができます。
会社の所定労働時間について、1日の労働時間は8時間、1週の労働時間は40時間とする。
2.会社の始業時間は9時、終業時間は18時とし、休憩時間は12時から13時とする。
始業・終業の時刻および休憩時間、所定労働は以下の通りとする。
始業時刻 | 終業時刻 | 休憩時間 | 所定労働時間 |
9時00分 | 18時00分 | 12時00分~13時00分 | 8時間 |
シフト制では、以下のような例も考えられます。
記載例③のように、ある程度パターンが固定された場合は、全て記載するようにしましょう。
一方、個々の事情によって変わる場合は、記載例④のように定めても良いですが、個々の労働契約締結時には、更に丁寧な説明が求められます(労働条件通知書といいます)。
また、シフト制かつ、1ヵ月単位の変形労働時間制をとっている場合などは、就業規則自体にも、すべてのシフトパターンを記載するなど詳細な記載を求められます。
労働時間は、1週間については40時間、1日については8時間とする。
2. 始業・終業の時刻及び休憩時間は、2交代制とし、次のとおりとする。
1番(昼勤)
始業時刻 | 終業時刻 | 休憩時間 | 所定労働時間 |
9時00分 | 18時00分 | 12時00分~13時00分 | 8時間 |
2番(夜勤)
始業時刻 | 終業時刻 | 休憩時間 | 所定労働時間 |
18時00分 | 3時00分 | 0時00分~1時00分 | 8時間 |
会社の所定労働時間について、1日の労働時間は8時間、1週の労働時間は40時間とする。
2.原則としては、会社の始業時間は9時、終業時間は18時とし、休憩時間は12時から13時とするが、
具体的には、個別の労働契約で定める。
シフト制は、1ヵ月変形労働時間制とともに導入することが多いですが、別の概念ですので要注意です。
休日、休暇
休日とは、従業員が労働から完全に解放される日を指します。一方、休暇は労働日であるにもかかわらず、労働義務が免除される期間を指します。有給・無給を問いません。
まず休日の記載例から見ていきましょう。
休日は、次のとおりとする。
① 土曜日及び日曜日
② 国民の祝日(日曜日と重なったときは翌日)
③ 年末年始(12月 〇日~1月〇 日)
④ 夏季休日( 8月 〇日~ 8月 〇日)
⑤ その他会社が指定する日
次に休暇ですが、休暇は休日と比べて、多くの種類があります。
以下は、法律で定められている休暇です。
・年次有給休暇
・産前産後休暇
・母性健康管理のための休暇
・生理休暇
・育児時間
・育児休業
・介護休業
・子の看護休暇
・介護休暇
以下は、会社が任意で決められる休暇例です。
・慶弔休暇
・配偶者の出産休暇
・アニバーサリー休暇
・自己啓発休暇
・育児・介護関係について法律以上の休暇
上記の休暇の内、『年次有給休暇』以外は、会社から賃金を支払なくても良いです。
勤務交代制の就業時転換
勤務交代制とは、シフト制や輪番制などと呼ばれ、前述でも軽く述べました。
工場のようにグループ単位で交代(2交代や3交代など)したり、小売店舗で個別に交代したり、様々な運用形態があります。
中でも、就業時転換は前者の工場のような制度を想定しています。
例えば昼勤グループと夜勤グループが入れ替わるような場合です。
個々の従業員で異なるシフト制などは、この項目は意識しなくていいでしょう。
交替勤務における就業番は原則として 15日ごとに 1番(昼勤)を 2番(夜勤)に、2番(夜勤)を 1番(昼勤)に転換する。
②賃金など
ここでいう賃金は、毎月支払うお金のことを指します。
例えば、基本給、役職手当、時間外手当、その他手当です。
一方、賞与や退職金はここには含まず、相対的必要記載事項に含まれます。
賃金の決定、計算
基本給については、具体的な計算方法は書かずに「どういった要素を加味して決定するか」を書けば問題ありません。もし、賃金テーブルがきっちり決まっていればそれを記載してもいいですが、そういった会社は少ないでしょう。
基本給は、本人の職務内容、技能、勤務成績、年齢等を考慮して各人別に決定する。
一方、基本給以外については、計算方法を書くのが一般的です。
基本給と違って、明確に計算方法が決まっていることが多いためです。
役職手当は、以下の役職の者に対し、それぞれの金額を支給する。
部長 月額 50,000 円
課長 月額 25,000円
係長 月額 10,000円
支払いの方法
支払いの方法は、現在は口座振り込みが一般的だと思います。
ただ依然として、「口座振り込みはその従業員が合意した場合」と労働基準法で定められています。
よって、以下の書き方が主流となっています。
また忘れないように、賃金から控除するものを記載をしましょう。
賃金は、労働者に対し、通貨で直接その全額を支払う。
2 前項について、労働者が同意した場合は、労働者本人の指定する金融機関の預貯金口座へ振込により賃金を支払う。
3 次に掲げるものは、賃金から控除する。
① 源泉所得税
② 住民税
③ 健康保険、厚生年金保険及び雇用保険の保険料の被保険者負担分
④ 労働者代表との書面による協定にて賃金から控除することとした社宅入居料、財形貯蓄の積立金及び組合費
賃金の締切り及び支払の時期
賃金は、毎月1回以上、一定の期日で支払わなければなりません。
よって「毎月第4金曜日に支払う」というのはNGです。
支払日が休日にあたる場合は、繰り上げても繰り下げてもいいですが、繰り上げが多いです。
理由は、支払日を月末にしていて、かつ年末年始休暇があると、12月に払えず「毎月1回」支払えない可能性があるからでしょう。
賃金は、毎月20 日に締め切って計算し、翌月5 日に支払う。
ただし、支払日が休日に当たる場合は、その前日に繰り上げて支払う。
注意点ですが、締め切り日から支払日までの日数を十分確保しましょう。最初に、タイトなスケジュールで組んでしまい、給与計算の時間がなくて、泣きを見てしまいます…
昇給に関する事項
昇給は、従業員のモチベーションを上げる上ですが、就業規則への記載を忘れないようにしてください。
会社の業績によっては、昇給を見送る場合があると思います。
それもあって、決算が終わって数か月後に設定する会社も多いです。
昇給は、勤務成績その他が良好な労働者について、毎年 6月をもって行うものとする。
ただし、会社の業績の著しい低下その他やむを得ない事由がある場合は、行わないことがある。
2 昇給額は、労働者の勤務成績等を考慮して各人ごとに決定する。
反対に、降給がある場合も必ず併記しましょう。
就業規則に記載がなければ、基本的に降給を行うことができません。
③退職全般
まず、退職には大きく次の4種類があります。
- 自然退職: 定年、死亡、雇用期間の満了、休職期間満了、行方不明
- 辞職:従業員からの一方的な退職申し入れ
- 合意退職: 会社と従業員との間の合意がある退職
- 解雇: 普通解雇、懲戒解雇、整理解雇
前述の通り、労働トラブルになりやすものの1つが退職ですので、それぞれ慎重に記載しましょう。
詳しくは、いずれ別記事で解説したいと思います。
相対的必要記載事項の各項目を解説
相対的必要記載事項
- 退職金(適用者、支払い時期、不支給や減額ルール、計算および支払いの方法)
- その他賃金関係(ボーナス、最低賃金)
- 従業員負担のもの(仕事道具など)
- 安全及び衛生
- 職業訓練
- 災害補償および業務外の傷病扶助
- 表彰および制裁
- その他、事業場内の従業員すべてに適用される事項(休職、福利厚生)
相対的必要記載事項は、上記の8つでした。それぞれ順番に見ていきます。
退職金
適用者については、正社員だけなのか、アルバイトも含めるのか、嘱託(継続雇用者)はどうするか、などを定めます。ただ最近では就業規則自体の対象から、アルバイトを外していることが多いです(アルバイト規則は別途作成)。
以下の記載例も、アルバイトは除外されてる前提で書いており、更に3項にて嘱託(継続雇用者)を除外しています。
次に不支給や減額についてです。
「退職金を制度化するか」は会社の自由です。ただ制度化した会社が自由に、不支給や減額をすることはできません。よってここでのポイントは、2点あります。
- 懲戒解雇者へ不支給、減額する場合は明記する。
- 自己都合退職の減額をする場合は、退職金の計算方法として明記する。
さらに、懲戒解雇者であっても、不支給や減額には程度があります。やり過ぎて無効となった判例もありますので注意です。
労働者が退職し又は解雇されたときは、この章に定めるところにより退職金を支給する。ただし、第68条第2項により懲戒解雇された者には、退職金の全部又は一部を支給しないことがある。
2退職金は、支給事由の生じた日から 1か月以内に、退職した労働者(死亡による退職の場合はその遺族)に対して支払う。
3 継続雇用制度の対象者については、定年時に退職金を支給することとし、その後の再雇用については退職金を支給しない。
4退職金の額は、退職又は解雇の時の基本給の額に、勤続年数と退職都合に応じて定めた下表の支給率を乗じた金額とする。
勤続年数 | 会社都合退職 | 自己都合退職 |
5年未満 | 1.0 | 0.8 |
5年~10年 | 2.8 | 2.2 |
11年~15年 | 5.0 | 4.0 |
また、退職金制度がない会社は、誤解のないよう、きっぱりと書いても良いでしょう。
(相対的必要記載事項は、制度がなければ”必須ではない”というだけで、別に書いても問題ありません)
社員に対する退職金は支給しないものとする。
その他賃金関係
ボーナス(賞与)
賞与は、原則として毎年8月(計算期間前年10月~当年3月)の第1金曜日、及び12月(当年4月~当年9月)の第1金曜日に、支給日に在籍する正社員に対し、会社の業績等を勘案して支給する。ただし、会社の業績またはその他やむを得ない事由がある場合には、支給時期を延期し、または支給しないことがある。
2 前項の賞与の額は、会社の業績及び従業員の勤務成績などを考慮して各人ごとに決定する。
賞与を支給する場合、就業規則には、賞与の対象者、支給対象時期、賞与の算定基準、査定期間、支払方法等を記載します。また念のため「業績次第では延期や不支給」といった内容も含めるのをお勧めします。
最低賃金
最低賃金は1,200円とする。
ただし、最低賃金法(昭和 34 年法律第137 号)第7条に基づく最低賃金の減額の特例許可を受けた者を除く。
法令通りの最低賃金であれば、記載しなくても問題ありません。
もし法令以上の最低賃金(社内最賃)を設定している場合は、記載をしましょう。
法令で定められる最低賃金は、毎年10月に賃上げされるので、「いつの間にか就業規則に記載の最低賃金が法令未満になっていた」ということの無いよう、定期的なメンテナンスが必要です。
最低賃金の記載は、業務改善助成金の要件になっています。
従業員負担のもの(仕事道具など)
社員が業務で使用する鋏(シザー)の購入およびメンテナンス費用については、その社員本人が負担する。
業務の一環で使用する用品でありながら、従業員が負担する場合は、それを就業規則に記載します。
安全及び衛生
会社は、社員の安全衛生の確保及び改善を図り、快適な職場の形成のために必要な措置を講ずる。
2 社員は、安全衛生に関する法令及び会社の指示を守り、会社と協力して労働災害の防止に努めなければならない。
3 社員は安全衛生の確保のため、特に下記の事項を遵守しなければならない。
① 機械設備、工具等の就業前点検を徹底すること。また、異常を認めたときは、速やかに会社に報告し、指示に従うこと。
② 安全装置を取り外したり、その効力を失わせるようなことはしないこと。
③ 保護具の着用が必要な作業については、必ず着用すること。
④ 20歳未満の者は、喫煙可能な場所には立ち入らないこと。
⑤ 受動喫煙を望まない者を喫煙可能な場所に連れて行かないこと。
⑥ 立入禁止又は通行禁止区域には立ち入らないこと。
⑦ 常に整理整頓に努め、通路、避難口又は消火設備のある所に物品を置かないこと。
⑧ 火災等非常災害の発生を発見したときは、直ちに臨機の措置をとり、 に報告し、その指示に従うこと。
就業規則への記載事項は、労働基準法絡みの内容が多い一方で、こちらは安全衛生法で規定されています。
相対的必要記載事項ではありますが、安全について何もルールがない会社はほぼないので、記載はほぼマストだと思った方がいいでしょう。
職業訓練
会社は、業務に必要な知識、技能を高め、資質の向上を図るため、社員に対し、必要な教育訓練を行う。
この教育訓練にかかる費用は、会社負担とする。
2 社員は、会社から教育訓練を受講するよう指示された場合には、特段の事由がない限り教育訓練を受けなければならない。
3会社は、会社が別で指定する資格を取得した社員に対して、資格手当として、その資格に応じた金額を支払う。
どんな業界でも、会社の貢献につながるスキルや資格はあると思います。こちらも記載のある会社が多いです。
災害補償および業務外の傷病扶助
社員が業務上の事由により負傷し、疾病にかかり、又は死亡した場合は、労働基準法及び労働者災害補償保険法(昭和22年法律第50号)に定めるところにより災害補償を行う。
2前項の業務上の事由による負傷や疾病について、社員の故意または過失によるものである場合は、民法第536条2項は適用しない。
災害が起きた際に、会社が従業員に対して、どこまで補償するかを定めたものです。
例えば、よくある補償として、「働けない期間の生活保証」です。休業補償といいます。
これは、以下3つの法律が絡んできますが、それらを整理したのが上の記載例です。
これもいずれ、別の記事で解説します。
以下の通り、働けない期間は、給料の一部を会社が補償せよ。
①最初の3日間・・・10割 ②4日目以降 ・・・6割
国が保険で補償するので、会社は、労働基準法の②は払わなくてよい。
会社は働けない全期間について、10割補償せよ。
表彰および制裁
会社は、労働者が次のいずれかに該当するときは、表彰することがある。
① 業務上有益な創意工夫、改善を行い、会社の運営に貢献したとき
② 社会的功績があり、会社及び従業員の名誉となったとき
③ 前各号に準ずる善行又は功労のあったとき。
2 表彰においては、賞状のほか賞金を授与する。
表彰制度は、従業員のモチベーションに繋がりますが、第二項は、記載しない会社も多いです。
記載すると、賞金授与が制度化(義務)になってしまいます。
会社は、社員が次のいずれかに該当する場合は、次の区分により懲戒を行う。
① けん責
始末書を提出させて将来を戒める。
②出勤停止
始末書を提出させるほか、14 日間を限度として出勤を停止し、その間の賃金は支給しない。
③懲戒解雇
予告期間を設けることなく即時に解雇する。
2社員が次のいずれかに該当するときは、情状に応じ、けん責、出勤停止とする。
① 正当な理由なく無断欠勤が 日以上に及ぶとき。
② 正当な理由なくしばしば欠勤、遅刻、早退をしたとき。
以下略
制裁は、『懲戒』として就業規則に記載されることが多いです。
懲戒レベルと、どういった行いがそれに該当するのかを列挙します。
どういった行いが該当するか、については『懲戒解雇』と『それ以外』で分けて記載することが多いです。
懲戒については、トラブルになりやすいので、専門家(社会保険労務士)と一緒に作成するのが良いでしょう。
その際のポイントは、内容の意図を解説してもらうことです。
就業規則には、何気ない一文に意図が込められています。それを知ることは、運営時にも役立つでしょう。
その他、事業場内の従業員すべてに適用される事項
全員が対象の制度があれば、明記しなければいけません。
例としてここでは、『休職制度』と『福利厚生』を解説しますが、他にも以下のようなものがあります。
- テレワーク制度
- 服務規律
- 持ち物、服装
- 共用の業務用品の使用ルール
- 情報管理規定
- SNS規定
- 副業規定
- 社内イベント(強制が全員必須のもの) など
ただし一度制度にすると、その就業規則で定めた範囲全員が対象になり、変更するのは工数が掛かります。
注意しましょう。
休職
社員が、次のいずれかに該当するときは、所定の期間休職とする。
① 業務外の傷病による欠勤が 1か月を超え、なお療養を継続する必要があるため勤務できないとき 1年以内
② 前号のほか、特別な事情があり休職させることが適当と認められるとき 必要な期間
2 休職期間中に休職事由が消滅したときは、原則として元の職務に復帰させる。ただし、元の職務に復帰させることが困難又は不適当な場合には、他の職務に就かせることがある。
3 第1項第1号により休職し、休職期間が満了してもなお傷病が治癒せず就業が困難な場合は、休職期間の満了をもって退職とする。
以下略
休職制度は、多くの会社で導入されています。
会社は、従業員が仮にプライベートでの傷病で欠勤したとしても、すぐに解雇することはできません。
まずは回復を待たなければならず、そのための制度が休職制度なのです。
しかし、使い方によっては休職制度はトラブルの種になります。
休職制度に限らないですが、インターネット上の無料テンプレートにも、補足すべき内容が見受けられるので、専門家に相談しながら作成をするのをお勧めします。
参考:休職制度の注意点を解説しています。
【就業規則】厚生労働省テンプレートを解説。中小企業が注意すべきポイント11選。
福利厚生
社員は、会社があらかじめ指定した場所を更衣室として使用することができる。
2会社は、社員の体力向上と健康増進のために、体育その他クラブ活動につき助成することがある。
まず福利厚生の定義についてはっきりさせましょう。
世間一般的には、『住宅手当』『結婚休暇』なども、福利厚生と言うことが多いです。
しかし、「就業規則の記載ルール上」は、『住宅手当』は賃金(絶対的必要記載事項)ですし、『結婚休暇』は休暇(〃)です。
ここで言うところの福利厚生は、それらに含まないが対象全員が活用できる制度を言います。
例えば、場所の貸し出し(更衣室、食堂)や、金銭補助(賄い、クラブ活動費、企業型確定拠出年金の補助)などが挙げられます。
任意的記載事項を解説
任意的記載事項は、会社が独自で定められるものです。
ただし、「全従業員を対象とした規約」的な内容であれば、相対的必要記載事項になります。
任意的記載事項 (一例)
- 企業理念
- 遵守義務
企業理念
株式会社〇〇は、心のこもった料理とサービスをお客様へ提供することで、飲食のすばらしさと人の温かみを世の中へ伝え続けます。
企業理念は、事業活動の大元ですので、就業規則に関わらず、あらゆる媒体に記載して、従業員へ周知させましょう。就業規則の場合は、冒頭に書くのが一般的です。
遵守義務
会社および社員は、この規則を遵守し、相互に協力して社業の発展と両者の幸福の実現、労働条件の向上に努めなければならない。
規約と言うよりも、従業員へのメッセージ的意味合いです。
ただこれも就業規則に記載すると、公式のものとなりますので、「会社は従業員の求めに対し、全力で応える」といった負荷が強いメッセージは避けたほうが無難です。
まとめ
今回は、記載事項について、解説しました。
実際に各項目として記載する内容は、経験や知識が必要になってきます。
信頼できる社労士を活用することで、将来安心な規則を整備するのが重要です。
もし就業規則でご相談があれば、こが社労士パートナーズのホームページよりお気軽にご連絡ください。
『一部規定のみの作成』 『簡易版の作成』 『10人未満向け規定の作成』 『従業員向けルールブックの作成』など、
丁寧にその会社のビジョンや事情をお伺いします。
作成中は気軽に何度でもやり取りが可能です。経営者が実現したい未来像に合わせた、規約を作成いたします。