「社労士に依頼したいけど、相場はいくらなんだろう?」
「そもそも、どんなサービスがあるの?」
こんな疑問をお持ちではないでしょうか?
この記事では、代表社労士を務める私が、「社労士の料金相場」を解説していきます。
今回は基本編として、業界解説と2つの主要サービスを解説します。応用編はまた別途記事にしたいと思います。
この記事の執筆者
古賀 泰成(こが たいせい)
こが社労士パートナーズ
代表社会保険労務士
法政大学 経営学部卒業。
自動車メーカーにて海外拠点での営業・物流管理に7年従事。
その間に社労士資格を取得し、父の社労士事務所に勤めた後に開業。
労務×採用で、小規模事業~中小企業まで支援実績あり。
ではまずは、本題に入る前に、軽く社労士の業界を紹介したいと思います。
業界について押さえることで、よりイメージがしやすくなるでしょう。
3ステップで業界をつかむ
「なぜ同じ社労士事務所でも値段が違うのか?」
この疑問にお答えするために、私が考える業界特性を3ステップでご紹介します。
「どんな社労士が良いか?」は人によって様々です。
ここでは皆様へ、社労士の解像度が上がるよう、業界紹介をしたいと思います。
*以下は、企業向け社労士事務所を解説します。
個人向け社労士事務所もあります(障害年金の申請等)が、今回こちらは割愛します。
業界理解1:税理士との違い
現在、顧問税理士がいる方も多いでしょう。税理士の場合は、サービスとして「税務申告」「税務書類」「税務相談」が思い浮かぶでしょう。また、それに付随するサービスとして、「税務」→「会計」→「経営」というように、関係する領域に派生する税理士もいます。よって、「資金繰りに強い税理士」、「社外CFO」といった肩書があっても、イメージしやすいです。
一方で、社会保険労務士は、「社会保険」「労務」という関係がなさそうな2つが並列されています。ほとんどの社労士事務所が、この両方のサービスを提供しています。
まず社会保険では「保険申請」が代表的です。民間保険ではなく、公的保険が対象です。
加入、保険料の支払い、保険の請求まで一貫して申請します。
次に労務では、「労務書類」や「労務相談」が代表的です。労務書類では、賃金台帳(給与計算)、36協定書、就業規則などが代表的です。
労務相談では、これらの相談に加えて、ハラスメントや退職勧奨等、あらゆる労務相談が対象です。
業界理解2:サービス品質はどこで差が付くのか
これらのサービス品質は、どこで差がつくのでしょうか?この答えは、他の士業と同じです。
まず一つが、法令解釈です。法令だけでなく、裁判例の知見があるかどうかです。解釈の幅で言うと、「社会保険領域」<「労務領域」なので、社労士とのコミュニケーションは、必然的に労務領域が多くなります。
次に、法令以外の知識です。労務領域で言うと、労務に関係する、従業員満足度であったり、組織づくり等です。次のチャプターで解説します。
最後に、人間性です。士業はその人の性格が品質に大きく関わる業界です。「マメか?」「興味を持ってくれるか?」「先を見越してくれるか?」等、多くの要素があります。また、これは”質”と言うよりは相性の話になってきます。
まとめると以下の図になります。
ステップ3:社会保険、労務の関係領域とは?
また、実は社労士も「社会保険」や「労務」に関係する領域へ手を伸ばしています。
(別サービスとして展開することもあれば、「労務相談」の中にまとめていることもあります)下の図をご覧ください。
特徴として、領域が分散しています。
社会保険からは、助成金、企業型DCに派生していますし、労務からは人事制度、採用支援に派生しています。このように、事務所によっては、財務や人事にバラつくのが業界の特徴です。
社労士の料金体系は?
顧問契約とスポット
主な料金体系は、顧問契約とスポット契約です。
顧問契約は、1年間*の契約を結び、月額料金を支払うことで、特定のサービスが受け放題になります。特定のサービスとして、「労務相談」や「社会保険の手続き」など*が挙げられます。
ただし、別料金のサービスがあったり、上限回数を設けている場合もあるので、契約前に確認しましょう。
*契約期間やサービスは事務所ごとに異なります。ここでは最も多い例を挙げました。
スポット契約は、単発での契約です。
顧問契約と同じく「労務相談」「社会保険の手続き」だけでなく、「会社設立時の保険適用申請」、「就業規則作成」、「助成金申請」などがあります。
社労士はなにができるのか?費用相場は?
労務相談
労務相談のサービス内容、社労士選びのポイント
労務相談は、主に3つの相談に分類されます。①法律的にどうなのか? ②従業員的にどうなのか? ③経営的にどうなのか?です。
①は法律遵守の観点です。白黒グレーで判断でき、社労士資格をもっていれば、白と黒の判断はつけられるでしょう。一方グレーの判断は、裁判例などの知見によって差があります。
②はスタッフ満足度の観点です。法律に違反しなくても、スタッフ満足度が下がれば、会社も損をします。特に「定着」や「生産性」に直結することから、最近は相談が増えています。社労士としては、他社事例や関連領域の知見が必要です。
③は投資の観点です。例えば「ある制度を導入することで将来どんなインパクトがあるか?」です。細かいシミュレーションが必要になる場合は、別料金で対応する社労士が多いでしょう。HPで制度導入をサービスとして謳っているか、確認してみてください。
また顧問社労士は変えずに、その部分だけを他の社労士へ依頼することも可能です。
上記の3つの観点から相談に乗ってくれる。
グレーにおけるリスクを加味して、共に判断を悩んでくれる。
法的に明記されていないことは「とりあえず避けるべき」と言う
「弁護士や税理士の領域だから」と断る
労務相談の費用相場
費用相場ですが、以下の表にまとめました。
*顧問契約の注意点として、労務相談のみのサービス相場なので、社会保険手続きは含みません。
*社会保険手続きを除く | 顧問契約(以降、10人毎に+1万円程度) | 数人だと、1~2万円程度
スポット契約 | 1時間5千~1万円程度 |
表のとおり、顧問契約は人数規模で料金が変わることが多いです。
人数が増えるほど、労務相談の機会が増えるためです。
社会保険手続き
社会保険手続きのサービス内容、社労士選びのポイント
社会保険手続きとは、「従業員のイベント毎に、法律に則って、手続きを代行する」サービスです。
社労士事務所のHPで、”社会保険手続き”と書いていたら、社会保険(健康保険、厚生年金保険だけでなく、労働保険(労災保険、雇用保険)の手続きも含めます。
どんなイベントがあるか、以下の表をご覧ください。
顧問契約の場合は、これらは顧問料の範囲で、何回でも依頼できることが多いです。
あくまで一例ですので、他のイベントもございます。
Aさんの入社~退社のイベント
イベント | 労働保険(労災+雇用) | 社会保険(健康+介護+厚生年金) |
---|---|---|
入社 | 資格取得届 | 資格取得届 |
ボーナスの支払い | – | 賞与支払届 |
給料の見直し | – | 月額変更届 |
産休開始 | – | 産前産後休業取得者申出書、出産手当金支給申請 |
育休開始 | 育児休業給付金支給申請 | 育児休業等取得者申出書、扶養異動届 |
育休終了 | – | 育児休業等取得者終了届 |
時短勤務開始 | – | 育児休業等終了時報酬月額変更届、 (厚生年金保険)養育特例申出書 |
プライベートでの怪我での休業 | – | 傷病手当金支給申請 |
退社 | 資格喪失届、離職証明書 | 資格喪失届 |
社会保険手続きは、法律で決まった手順で行うものです。よって社労士事務所によって、最終的なアウトプットに差が出にくいサービスです。出るとすれば、迅速に対応し、何かあれば報告があり、漏れがないか?です。
また、手続きを依頼する際には、必ず社労士とコミュニケーションが発生します。そのついでに労務相談やグチなど、コミュニケーションが生まれるかも大事でしょう。
社会保険手続きの費用相場
費用相場ですが、以下の表にまとめました。
*顧問契約の注意点として、社会保険手続き+労務相談の相場です(社会保険手続きには、労務相談の顧問契約がセットであることが多いため)。
*労務相談も含む | 顧問契約(以降、10人毎に+1万円程度) | 数人だと、1~2万円程度
スポット契約 | 1件5千~1万円程度 |
早々に対応してくれて、何かあれば報告をくれる。
社会保険手続きをきっかけに、コミュニケーションできる。
ミスや漏れが多い。
機械的に処理するだけで、コミュニケーションがない。
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社労士がいない会社はどう?社労士が必要か見極めるポイント。
まとめ
いかがでしたでしょうか。今回は、社労士ができること、業界事情、料金相場をご紹介しました。この記事は、基本編と言うことで、2つの主要サービスのみに絞っています。
またこれは業界として良い点でもありますが、社労士は、他の業界よりも強引なセールスや売り込みは少ないです。なので、もし「自社も社労士を付けたほうが良いかも?」と感じた方は問い合わせてみるのが早いかも知れません。
こが社労士パートナーズでも、対面(1都3県)とオンライン(全国)にて、柔軟なサービス設計をしております。強引な営業等ありませんので、どうぞお気軽にお問い合わせください。